
| 第十八回 【「きもの文化検定」合格者表彰式に参加して 感慨深い1級合格者誕生までの道のり】 服飾評論家・きもの文化検定委員会 副委員長 市田ひろみさん |
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「きもの文化検定」表彰式パーティでひとしきり会場を沸かせた市田ひろみさんのトークショー。ぶっつけ本番、台本のない進行で出場者のホンネをたちまちに引き出すのは、この人ならではのもの。市田さんは、早くからきもの検定を提唱されていたことでも知られ、きもの文化検定副委員長の重積も担う、いわば「きもの文化検定」の生みの親の一人。当日のパーティの模様からここまでのきもの文化検定の歩みまで幅広く聞いてみました。
先日のパーティーは、業界にとって久々に明るいニュースでした。中でも、トークショーは盛り上がりました。
和装業界が“売り上げ”でなく検定試験のような“文化”活動で一つになるのは、嬉しいことですね。私が担当したパーティーはリハーサルなし、打ち合わせなしのすべてぶっつけ本番です。舞台に上がる人もその場で決めますし、大体、このショーでは、サプライズを一番大事にしています。
それにしても、きものの検定試験の必要性を早くから主張されていましたね。
えぇ、ずいぶん前になります。当時の織商の理事長さんに文書にして提案もしました。もっともそのときは、社員教育としての検定試験でしたが、きものの催事会場などに行くと、社員さんがお客さんと応対されていて、我流の説明で済まされているケースにしばしばぶつかった。聞いていて、はらはらしたものです。ですから、企業の垣根を越えて、主に新入社員を対象にしたきものの勉強をしてもらって、最後に検定試験をしてははどうか。業界が共通の教育カリキュラムを持つ意義は大きいのでは、という投げかけでした。でも、まだまだ、きものが売れている時代で、時期尚早だったんでしょうか。
そんな経験を経て「きもの文化検定」が実施されたわけですが。
私自身は、きもの文化検定の前に、京都商工会議所の『京都検定』や『京都ジュニア検定』に関わっていて、検定ブームの渦中も経験しています。でも、きもの需要の底辺を拡大するためには、どうしてもきものの検定が必要だ、という思いが離れませんでした。それで、スタート時から関わらせてもらったわけです。底辺拡大という点では、5級の入門編から始まって、段階的に1級までステップアップするという現行の方法がよかったと思っています。京都検定の方も新たに東京で受験会場を設けると聞いていますが、きもの文化検定のほうは、全国15会場に広がるなど、最初から全国視点が貫かれています。
今回、初めて1級合格者が生まれて、感慨もひとしおだったでしょう。
やはり、1級試験そのものや1級合格者には特別な意味があります。大事にしたい、という思いは共通のものでしょう。1級ライセンスがどれほどの価値を生むのか、と問われて即答できないのがつらいところですが、5級から1級まで挑戦の足跡といいますか、過程が大事で、また、検定試験へのチャレンジそのものが楽しい、と受験者から聞いていますし、これからのチャレンジャーにも共通したものだろうと思いますね。ただ、今回の1級試験では1,000人ほどが受験されて、合格は36人。超難関でした。“なんであんなに難しくしたの?”という感想も耳に入っていますが、それだけ合格の喜びも大きいわけで、何ともいえません。ただ、これまでは、きものの知識やノウハウは経験者からの口伝によるか、専門の学者の研究にゆだねられていたのが、その中間にこの検定のシステムが入るのかなぁ、というところに意義を見つけています。
最後に「きもの文化検定」の今後を考える上で、注文するところは。
これは検定に限りませんが、きものを着る場をもっと作って、きもの姿を日常的に見たいというのが私の念願ですから、あらゆる場、特に私も関わることの多い、きもの催事などへ参加される人にはきもので出かけてほしいし、業界の方も呼びかけていただきたいですね。それに、検定試験に関しては、業界の参加意識なくしては継続していかないものですから、大いに受験意識を盛り上げていただきたいと思います。それに最近、心強いのは『きもの学』などきものをカルチャーとして勉強したいという方が増えていることです。『日本きもの学会』とも連携を強めて、きものを着て楽しむファッションの入り口とカルチャーからの入り口が出来ているように感じます。どちらからでも、広くて深い、きものの門戸を叩いてください!、と訴えたいですね。