リレーインタビュー

第十五回
【共通課題の“きもの振興”へ共同歩調を】
社団法人 日本絹業協会 髙木 賢会長
<(社)全日本きもの振興会副会長>

ながらく農林水産省の蚕糸行政に関わってきました。直近では、84~85年に繭糸課長を96~98年に農産園芸局長を勤めて退職し、2年前に大日本蚕糸会会頭に、今年から現職の(社)日本絹業協会々長となり、今年5月に(社)全日本きもの振興会の副会長に就任しました。この経歴でもお分かりのように、通算20年間はシルクの糸、繭、種に関わってきました。蚕と絹は私の実務人生と切り離せません。

そんな「シルクワーク」を歩んできた私の経験から振り返っても、いまの養蚕や絹業は以前からは考えられないような規模の縮小に見舞われて大変な状況にあります。絶滅種のトキのような、といえば語弊があるかもしれませんが、このまま放置するならたいへんな事態を招きかねないという心配は私のみならず、業界の方なら共通することと思います。孫の代では、日本の繭は皇居にしかなかったというのもあながちジョークでは済まされない寒い現実ではないでしょうか。では、直面するこの危機にどう対処すればいいのか。日本の伝統文化といっていい、養蚕や製糸を盛時にとはいいませんが、なんとか現状を維持して少しでも将来への灯りが見える形に保つためにはナニをすべきなのでしょうか。それには、業界の方々が集まってまず、共通の危機フォーマットを作り、現状認識を一致させて、打開への方策を探り当てることの他に道はないと思います。

そして、その答えは、一つのことに集約されるでしょう。「きもの需要の振興」です。しかし、予想される答えは一緒でも、なぜ、ここまできもの需要が落ち込んだかという分析一つとっても必ずしも一致するとは限りません。私見では、きもの需要を阻害しているのは、“不透明さ”にあるのではないでしょうか。商品価格・品質・販売方法など、多くの不透明さが残るなかでは折角のきものブームも広がりを失います。私たち世代は、特に私の場合は、職業柄も出身地が代々養蚕県の群馬・高崎なことでも、きもの姿は特別なものではありません。母親世代は、きもので通していましたし、私も正月にはきものを着ています。そして重要なことは、きものをあまり着ないいまの世代にもきものは好印象を持たれていることです。それをもっと身近なものにするため、養蚕からきものの販売まで“タテの連携”を強化して、きものの不透明さを排することに共通して取り組むべきだと思います。

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