リレーインタビュー

第十三回
【対談「きもの学」が多くの人に支持された理由】
(社)全日本きもの振興会 房本清次会長(右)
京都学園大学 波多野進経済学部教授(左)

京都学園大学と当振興会との共催で始まった「きもの学」も今回で5回目。学生と社会人が机を並べて、きもののあれこれを半月間に亘って学びあうこの講座は、大学コンソーシアム京都で毎回人気ナンバーワンを続けています。今年はこの講座をきっかけに「きもの文化検定」への発展を見ました。講座の生みの親の京都学園大学の波多野進教授と房本清次・当振興会理事長に語ってもらいました。

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房本

「きもの学」は先生のご尽力もあって、今回で5回目。非常にスムーズに進行しています。私も講座を受けて、きものは先人が築いてきた技術と工夫の詰まったものなのだと思うことしきりです。また、業界が苦しいときでも自信と誇りを失わず、先人の残してくれた足跡に立ち返る必要があるとも思いますね。

波多野

そうですね。「きもの学」はアイデアトークからとんとん拍子に実現へ動き出したのですが、まさか、初回からずっと大学コンソーシアム京都でナンバーワンの人気講座であり続けるとは思いませんでした。全く嬉しい誤算です。房本:業界の問題点の一つは、生産―流通―販売を通じてきものに対する知識の不足と認識のばらつきがあげられます。知識に差があって、わからないままで物事が素通りしている感がなきにしもあらず、です。業界の外では、若い人の間できものがブームになっていてきものへの関心も高まっています。そんな時ですから、きもの学がますます重要なポジションを占めると思っています。

波多野

教育事業というのは、受ける人は当然のこととして、する側も同時に教育されるという性格を持っています。私の専門分野の経済分野では20年前から枠組みががらっと変わっていますが、社会全体でもそのことは言えるわけで、きものもこれまで学会・行政・業界・消費者と重層的な構造で形作られてきましたが、横の連携が少ないといいますか"結び目"がないというのが実感でした。情報化時代ですから、効果的な事業を、従来の枠組みの中だけで考えるのではなく、現場の視点で考え、立ち上げていくということが必要でしょうね。きもの学の成功はまず、産学の提携で、これほどのことが出来た、そこに自信と方向性がもてます。

房本

われわれの業界は、これまで折角の事業もばらばらに取り組むことも少なくありませんでした。やるべきことは多くなる半面、予算は少なくなるという現状はありますが、そのことは逆に横の連携が強まる好機でもある、と。また好機にしていかねばならにと痛感しています。それに、伝統産業に携わる者にとっては日々の業務の一つ一つが、後世に伝えるべき荷の重い仕事を担っているのだということを実感して行きたいものです。

波多野

講座の運営を通じて、アウンの呼吸も分かり合え、互いに機能を補完し合える関係が作れたかなぁ、と感じています。社会人の受講者も初回から多く、半月以上にも及ぶ受講は大丈夫かと危ぶんだのですが、連続して受けられる人が圧倒的に多かった。こうした人はきものファンの中でも、さらにきものの知識の吸収に興味を持っておられる人たちで、いわばきもの振興の中核を占める方たちだろうと思います。

房本

話しは変りますが、大学コンソーシアム京都の方から非公式に聞いた話では、きもの学の教室は、どの講座のときよりも後片付けがされていて綺麗だったということでした。

波多野

それは嬉しい話ですね。きものについて学ぶことは、日本文化を理解することに通じるわけで、"もったいない"とか"あとを濁さず"など日本人として本来身に着けているべき精神が発揮されたということでもあるのですから。大学での私の講座でも生徒諸君に、教室では帽子を取る・バッグを(机の上に)乗せない・飲み物を置かない――の3つを徹底していますが、これからは何事によらず精神的な支柱というのが大事になってくる時代です。きもの学の教室が綺麗だったというのは講座が緊張感を保って進められている証拠でもあり、日本文化のバックボーンの初歩が実践されたことでもあるのですから。

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