
| 第十一回 【きもの見直しの今こそリーズナブルな商品開発を】 丹後織物工業組合 理事長 坂根 徹さん <(社)全日本きもの振興会正会員> |
![]() |
この人にとって、この秋は目の回るような忙しさ。全国からきもの業界人が集まる「きものサミット」が丹後織物工業組合主催で開かれ、同時に「若者きものファッションショー」「新作きもの発表会」「丹後ちりめん夢よさこい」「世界の民族衣装交流会」ほか数え切れないほどのイベントが目白押し。天橋立一帯で繰り広げられる恒例の「丹後きものまつりIN天橋立」も控え、さらに11 月に「丹後織物求評会」が、と息つく暇もない。
「超」の付く過密スケジュールとなりそうですね。
「本当に。直面しているイベントだけでもすべての内容が覚えきれないほどあって、しばらくは休み返上ですね。まぁ、これもきもの振興につながることですから、気を抜くことなく一つ一つ全力で取り組みたいと考えています」
まず、サミットですが、厳しい状況の中での開催になりますが。
「テーマは、前回の西陣の時は〈トレーサビリティ〉という単独の具体的なテーマが掲げられたのですが、今回は〈きものサイコー!!もっとファッショナブルに…もっとリーズナブルに…〉としました。このサイコーには漢字の〈再考〉の意味も当てていて、きものの現状をいま一度振り返ってみようという問いかけを含んでいます。内向きになりがちな業界に〈きものは最高〉と再認識してもらって気持ちを鼓舞してもらうとともにきものを取り巻く状況を〈再考して〉もらおうというわけです」
その現状認識の点では産地から見て何が最重要な問題だと感じられますか。
「我々白生地産地から見て、いまの糸高製品安という状況は喫緊の問題ですね。白生地価格だけがリーズナブルではなんともね(苦笑)。産地の生産もここ5、6年は減産幅も少なく推移してきましたが、ご存知のように今年から輸入絹撚糸・織物が自由化されました。その影響がモロに出てきて、加えて輸入糸の高騰騒ぎでしょ。きものの売れにくい市況の中では糸高は吸収できるものではありません。勢い、生産量に反映してずっと減産が続いている状況です。これをなんとかしないと、高齢化した従事者を抱えて産地存続の危機につながりかねません」
ただ、きものを着る層は着実に広がっているようなのが明るいところですが。
「たしかに、京都市内などではきもの姿を普段でも見かけるようになりましたから。これはわれわれ業者にとっても明るいといいますか、心強い現象ですね。それにしても末端のきものの価格は高い。気軽に買えるような値札ではありません。我々の白生地価格からは想像も出来ない価格ですね。微力ながら和装市場の振興に力を発揮しないとダメだ、という思いは強いですね。きものを創る仕事に携わっているのですから、もっときものに親しみ、きものを楽しむ暮らしを実践していきたいものです。そうした機運は産地内にもあって、きものの園遊会やファッションショーやきものパーティなども盛り上がりますからね。あとは若い人にせっかく芽生え始めたきものブームですから、この芽を育てていくためにも買いやすいプレタのきものなどを開発してもっと市場を広げる努力が要るのではないでしょうか。〈きものサイコー!!、もっとファッショナブルに、もっとリーズナブルに〉ですよ」