リレーインタビュー

第九回
【お客さんと真正面から向き合う姿勢が大事】
染織近藤・社長 近藤典博さん
<(社)全日本きもの振興会正会員>

「染織近藤」の店舗は岡山市の中枢ビジネス街にあって、人通りもさほど多くはないが、同業他社からも「どうしてお客さんが集まるのか」と不思議がられるほど店への人の出入りが絶えない。その理由の一端は、初対面で交わした名刺の裏側にあった。

「KIMONO倶楽部」「順子きものサロン」「藤ちか会」「きものユニフォーム事業部」「きものリサイクル事業部」・・・などなどが並ぶ。しかも、話を伺ううちに、そのどれもの会や事業活動が活性化しているところに千客万来の秘密があるようなのだ。

その一つ、KIMONO倶楽部は今年で18年も続き、例会は82回を数える。発足のきっかけは東京から嫁いできた一人のお客さんの声から。「東京では、お芝居やパーティなどできものを着る機会があったがこちらではなかなかきものを着ることがなくて」。早速、この婦人を部長にして倶楽部を立ち上げることにした。特徴は、店も協力するとはいうものの、毎回の費用は会費制の自主運営。店とお客さん代表の10人で役員会を構成、運営をとりしきる。ここで年3?4回のきものイベント企画を練るが、喧々諤々の議論を経てお茶会、花見、グルメの会、忘年会、新年会、きものファッションショー、バス旅行などさまざまな活動を展開、きものを着る機会を自然な形でつくってきている。

きものをもっと勉強しましょうという声に応えて発足したのが「きもの勉強会」。4年前に発足、12回の例会をこなしてきた。きものコーディネート、カラー、着付けなどの勉強を店の社員さんと一緒に勉強するというもので、こちらも、お客さんの中から役員を選んで自主運営、1000円の会費で2、6、10月の第一土曜日に開催する。地元新聞に掲載されるので申し込みが多く、先着40人に限っているという人気ぶりだ。外部からボランティア講師も招いている。

店を取り巻くこうした活発な会や事業活動、つまり名刺の裏側に記載された多彩な活動の積み重ねがあって、ほぼ月1回は開く店の展示会も来場者が賑わう。会場のあちこちでは倶楽部やサロンやグルメの会などの話しに花が咲いて「会場がサロン化している」(近藤社長)という賑わいぶり。3年前に店の2階を開放して開いた「リサイクル」ショップも客足の多さに貢献している。開店まで2年ほどをかけて研究し、慎重を期して開いたのだが、今は「日に平均10人は来店」し、年2回店外で1週間開くリサイクル展には約1000名が足を運ぶ。「商品集めに苦労したことはない」というのも、日頃に培ったお客さんとの信頼関係があってのことだろう。「真面目にお客さんと向き合っていけば、自ずと道は開かれる。逆に、高い価格で売りつけるなどお客さんを裏切るような行為はその店だけでなく、きもの業界からお客さんの足を遠ざけることになるので心して対応したいもの」と近藤社長は言う。

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